理想の夫婦 5月2日
その昔、道北の小さな町の比較的近所に住んでいたという父と母は、自然な成り行きで結婚したと思っていました。
ほとんどが見合い結婚という70年ほど前には珍しく、大が付くほどの「恋愛結婚」だった、と叔母から聞かされたのは、今から10年ほど前のことでした。 それを聞いた私は、驚いたというより微笑ましく感じました。 母は19歳になったとき、函館に住む別の伯母の元に(花嫁)修業のために、出されました。 厳しかった伯母のしつけを受け、ゆくゆくは伯母の勧める人との結婚という筋書きが出来ていたのでしょう。 故郷に残った父には、その後何人かとの見合い話が持ちあがったようですが、母のことが気なり、首を縦に振らなかったとか。 ところが、思いがけないことが起こったのです。 死者2100人、負傷者10,000人 罹災人口10万人という大火災が母の住んでいた函館で起こったのです。 (昭和9年・函館大火) 伯母の家も焼失してしまい、 結局母は故郷に戻されたのです。 被災者には申し訳ありませんが、この大火がなければ、私は誕生していなかったのです。 結婚した両親は、順風満帆と言えるほど恵まれた生活を送ったわけではありませんが、互いを尊敬しあい、慈しみあい、支えあっている姿は、今も変わっていません。 現在、母は施設のお世話になっていますが、父は見舞いに行くと「寒くない?」「痛いところない?」「困っていることない?」と、毎回、毎回訊ねます。 私は少々呆れ顔・・・だって、まるで恋人とのデートのようなんですもの。 娘は、「おじいちゃん、おばあちゃんが理想の夫婦だ」と言います。 間違っても私達のことは、そう言いませんねぇ。 「反面教師」という方法で、あなたに理想の夫婦像を教えているのも知らないで・・・・。
by tazu0617
| 2007-05-02 00:15
| ねぇねぇ、聞いて!
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